CO₂排出量の削減

CO₂大幅削減をめざす実証実験店舗の取り組み

セブン‐イレブンの店舗においてはこれまで、CO₂排出量削減を目指した省エネ・創エネ・蓄エネに係る様々な設備の実証実験を通して、適合性や効果を見極めながら水平展開を進めています。2023年6月には、三郷彦成2丁目店で行っている実証実験を本格スタートしました。本店舗における購入電力量については2013年度対比で約60%削減、CO₂排出量については約70%削減することを目指します。

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サステナブル・リテイリング表彰「企業間連携賞」を受賞しました!

株式会社ダイヤモンド・リテイルメディアが主催する、食品小売企業がサステナビリティの実現のために実践している施策を募集し、表彰する企画。取組みを実施した企業様とともに受賞しました。

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三郷彦成2丁目店 採用の技術

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省エネ

EMS(エネルギーマネジメントシステム)

空調機と換気装置の協調制御や、各設備の電力使用量・店舗内外温湿度の計測・分析を行うことで、全体の省エネ化を図ります。また、可動式蓄電池(バッテリキューブ)への充放電指示を適時出すことで、太陽光パネルで発電した再生可能エネルギーや、安価な夜間電力を最大限活用することを目指します。

新型冷凍冷蔵設備

お弁当等のフレッシュフードを陳列しているオープン多段チルドケースのエアーカーテンを強化することにより、店内環境の与える影響、チルドケースからの冷気漏れを抑制し、使用電力を低減します。

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新除霜制御

冷凍ショーケースに対して従来定時に行っていた除霜を、店内環境や運転状況に応じて、最適なタイミングで行うことにより使用電力を低減します。

創エネ

次世代太陽電池

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お取引先様がこれまでに複合機の開発で培ってきた技術を応用し、開発した次世代太陽電池4種類を店舗へ設置しました。

カーポート太陽光パネル

4台駐車タイプを2基連結させ、太陽光発電パネルは高効率両面発電高出力モジュールを採用しました。駐車場にも創エネを追加することにより、再生可能エネルギー比率を高めています。

蓄エネ

可動式蓄電池システム(バッテリキューブ)

電動車両の中古バッテリを再利用した蓄電池システムです。これを制御することにより、屋根上及びカーポート太陽光パネル等で発電した電力の最大活用が可能となります。

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オフサイトPPA

セブン&アイHLDGS.では、NTTグループとの共創で、国内初※1のオフサイトPPA※2により調達した電力を、2021年4月より順次、グループの一部店舗に導入しています。セブン‐イレブン・ジャパンでは、2021年6月に40店舗、その後も取り組みを拡大し、2022年春には北陸電力との連携により、さらに303店舗へのオフサイトPPAによる電力調達を開始しています。

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  • ※1 株式会社資源総合システムへのヒアリング等を通じた NTT AE 調べ。
  • ※2 オフサイトPPAとは「オフサイト型コーポレートPPA(電力購入契約)」の略称。発電事業者から再生可能エネルギーの電力を長期に購入する契約を「コーポレートPPA」といい、「オフサイト型」は遠隔地の発電設備から送配電網を介して送電するモデルのことを指します。

省エネ設備の導入

店舗の増加や大型化、商品・サービスの拡充に比例した環境負荷の増加を抑制するために、新店オープンや既存店の改装に合わせ、LED照明や太陽光発電パネルなどの省エネルギー設備の導入を進めています。店舗での省エネの推進は、エネルギー使用に関わるコスト削減にもつながります。

太陽光発電パネル

再生可能エネルギーとして有効な太陽光発電パネルの設置を進め、太陽光発電パネルによって発電された電力を使用しています。太陽光発電パネル設置店舗数は8,823店(2023年2月末時点)に拡大しています。

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LED照明

セブン‐イレブン店舗での電力使用量の約15%を占めるのが、店内照明に使用する電力です。その電力を少しでも減らす一つの取り組みがLEDの採用です。LEDは蛍光灯と比較して消費電力が少なく、長寿命という特性があることから、セブン‐イレブン・ジャパンでは2008年からLED照明の導入を開始しました。さらに、2011年9月にはLED照明を標準仕様とし、店頭看板やサインポール、店内照明に使用しています。また、2014年には店内の照明の電気使用量をさらに約50%削減できる新仕様のLED照明を導入しています。

2023年2月末時点で、設置店舗数は店頭看板19,877店、サインポール18,039店、店内照明20,657店まで拡大しました。

CO₂冷媒

オゾン層破壊の要因となるフロンガスと比べて地球温暖化への影響が少ないCO₂冷媒を利用したノンフロン冷凍冷蔵設備を現在877店(2023年5月末時点)に導入しており、2023年度は新規開店店舗の約半数程度の導入に向けて、積極的に進めてまいります。

対象設備

  • オープンケース
  • 冷蔵ウォークインケース
  • アイスクリームケース
  • アイランド型チルドケース
  • 栄養ドリンクケース
  • 冷蔵リーチインケース
  • 中島チルドケース(店舗中央に置く内蔵型チルドケース)

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水素ステーション併設店舗

2016年2月、岩谷産業株式会社様の協力を得て、水素ステーション併設店舗を東京都大田区池上と愛知県刈谷市に、2017年3月には宮城県仙台市にオープンしました。各ステーションとも水素を製造工場より輸送してステーションで供給する方式で、液化水素貯槽、ドイツ・Linde社製水素圧縮機、蓄圧設備、ディスペンサーなどを備えています。供給能力は燃料電池自動車(FCV)で300ノルマル立方メートル、1時間当たりFCV6台の満充填(てん)が可能で、充填圧力は70Mpaです。

再エネ100%の店舗運営の実証実験

2019年4月17日に、神奈川県とセブン&アイHLDGS.で締結した「SDGs推進に係る連携と協力に関する協定」に基づき、2019年9月26日より、神奈川県内のセブン‐イレブン店舗10店において、店舗運営に関する電力エネルギーを全て再生可能エネルギーとして調達する実証実験を開始しています。

日産自動車の「日産リーフ」のリユースバッテリーを活用したオリジナル蓄電池と、高効率太陽光パネルを活用して自家発電を行い、日中の電力として活用。また、一部電力を蓄電し、夜間や災害時に使用する。また、不足分については2019年11月から、「卒FIT※」由来の電力を供給いただくことで、自家発電分と合わせ、実質再生可能エネルギー比率100%を達成することが可能となっています。

  • ※ FIT=Feed-in Tariff の略で、固定価格買い取り制度を指す。生産エネルギーの買取価格を固定する助成制度。19年11月より、制度の期限切れを迎える太陽光発電電力が順次発生している。

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電気自動車用充電器の設置

電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド自動車(PHV)用充電器を一部店舗に設置し、今後も拡大していきます。有料充電サービスを提供し、商業施設としての利便性の向上を目指すとともに、お買い物のついでに充電していただけるEV・PHVの利用スタイルの確立や、環境配慮型の次世代自動車の普及促進による脱炭素社会の実現に貢献していきます。

「省エネ対策 重点6項目」への取り組み

お店でできる環境対策として「省エネ対策重点6項目」を中心に、全国のセブン‐イレブン店舗と共に取り組んでいます。

この「省エネ対策重点6項目」は、節電に対する意識を向上させ、電力の無駄遣いを無くしていくうえで重要な項目をまとめたものです。各店舗ではスマートセンサーを活用して、この行為を実施した結果の検証を継続しながら、省エネ活動に努めています。

省エネ対策 重点6項目

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省エネアプリ

OFC(オペレーションフィールドカウンセラー:経営相談員)の店舗へのカウンセリングツールとして、設備ごとの省エネにつながる対応策を確認し実行するために、独自の省エネアプリを活用しています。

リース車の環境配慮

OFCが各店舗を訪問する際に使用しているリース車両を順次、ハイブリッド車へ切り替えています。2020年度は、1,095台の切り替えを実施し、延べ3,569台の切り替えが完了しました。

CO₂排出量の第三者審査

環境負荷低減の取り組みを正しく評価・検証するために、2015年から毎年、店舗運営に伴うCO₂排出量の第三者審査を毎年受けています。第三者審査を受けることで、数値の正確性と社内外からの信頼性の向上につなげています。

共同配送による環境負荷の低減

セブン‐イレブン店舗が開店した当時(1974年)は、食品から日用品・雑貨まで約3,000アイテムの商品の仕入れに対して、1店に1日70台のトラックが訪れていました。

そこでセブン‐イレブン・ジャパンでは、交通渋滞や地域の安全性、環境問題などを鑑み、共同配送のしくみを考え、メーカー様に協力を依頼し、違うメーカー様の商品を1台のトラックで運ぶという新しい物流の仕組みを構築しました。2005年以降1店あたりの配送車両は1日9台となっています。

店舗への納品車両台数の変化(1日あたり)

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配送効率向上の取り組み

曜日ごとの物量の差に着目し、店舗への納品スケジュールを曜日ごとに組み替えることで、配送車の効率化をすすめ、台数を削減する取り組みを、一部エリアから行っています。

セブン‐イレブン・沖縄の取り組み

現在、深夜と午前、夕方の3つの時間帯で配送している弁当やサラダ等の食料品を、沖縄県内の店舗では午前便をなくし、深夜帯の配送を1回から2回にして午前に届けていた商品を届ける取り組みを行っています。1日に配送する回数は3回のままですが、比較的交通量の少ない深夜に集中して配送することで効率化が進み、トラック1台で回る店舗数は1割程度増加しています。一方、午前便の廃止によって浮いた時間を、商品仕分け等に充てることで、全体の業務効率改善につながり、ドライバー1シフトあたりの労働時間は最大3割削減することができています。

今後は、ほぼ全ての製造工場で食品安全管理規格「JFS規格」を取得し、大半の弁当やサラダ等の食品の消費期限の延長を進め、配送の時間帯の集約を全国的に進めていきます。

大手コンビニ3社の地方(北海道)における共同配送の実証実験

内閣府戦略的イノベーション創造プログラム「スマート物流サービス」において、2022年2月、以下2つの実証実験を行いました。

(1)コンビニの配送センター間の物流の効率化

今回の実証では、セブン‐イレブンとファミリーマート、セブン‐イレブンとローソンの2つの組み合わせで、札幌近郊の基幹センターから、函館のサテライトセンターまでの横持ち配送の共同化の実証を行いました。今回の実証実験の結果、幹線でのセンター間の横持ちを共同化することにより、1便あたり以下の効果があることが分かりました。

幹線共同化効果 1便あたり

台数 ▲1台
距離 ▲275km、48%
CO₂排出量 ▲176kg・CO₂、45%
時間 ▲2.5時間、23%

(2)遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化

物流効率があまり良くない遠隔地(買い物困難地域)における店舗への商品配送の共同化の効果測定を行いました。

  • セブン‐イレブン既存ルート ローソン既存ルート
    コース
    イメージ共同で配送
    走行時間:11.5時間(2社合計)
    走行距離:280.8km(2社合計)
  • 遠隔地共同配送ルート 共配後のセブン‐イレブンのルート
    コース
    イメージルート短縮
    結果 9.2時間(▲2.3時間、20%
    218.9km(▲61.9km、22%
    CO₂排出量(▲36.2kg -CO₂

環境配慮型車両の導入促進

配送にともなう環境負荷を低減するために、環境配慮型車両を積極的に導入しています。

配送車両6,208台のうち、環境配慮型車両の導入は4,424台になりました。(2022年2月末時点)

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水素トラック

2019年4月にはトヨタ自動車株式会社が開発した燃料電池小型トラック2台を導入しました。このトラックは、水素で発電する仕組みの燃料電池(FCユニット)で走行し、最大積載量は3トン、航続距離は約200キロで、走行中に環境負荷物質を排出せず、FCユニットで発電した電力は冷蔵ユニットの電源にも使用しています。2020年4月には日本初の水素ステーション併設センターにて、新たなテストを開始、2021年夏以降も導入拡大に向けて実証実験を実施しています。

EVトラック

2018年2月より3台導入、現在も店舗配送を実施しています。今後は首都圏を中心に導入を拡大、CO₂削減を図ってまいります。

バイオ燃料の取り組み

2018年3⽉より、愛媛県が取り組む「使⽤済み天ぷら油」を原料としたバイオディーゼル燃料の利⽤促進に賛同し、県内の家庭やセブン‐イレブン店内のフライヤー、⼯場の揚げ物製造から発⽣する油を回収して精製しています。⽉間の燃料使⽤量は約25kl、配送にかかるCO₂の排出削減量は約2,590kg-CO₂/⽉を⾒込んでいます。

エコタイヤ

配送車両のタイヤの転がり抵抗を低減する「エコタイヤ」の導入を促進しています。2021年2月末現在、全車両の約99%にあたる6,244台の配送車両に導入しています。また、寿命が終了したタイヤの路面と接する面のゴムを決められた寸度に削り、その上に新しいゴムを張り付け、溝をつけて配送車両の後輪に再生利用(リユース)する「リトレッドタイヤ(更生タイヤ)」の導入についても、延べ850台(2021年2月末現在)で採用しています。使用後のタイヤを再利用でき、省資源、廃棄物削減に貢献できるとして導入を促進しています。

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    新品タイヤ
    使用後
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    リトレッドタイヤ

    REDUCE(リデュース)

    新品タイヤの価値を100%活用。

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    リトレッドタイヤの完成

    REUSE(リユース)

    使用後
  • RECYCLE(リサイクル)

    マテリアルリサイクル
    (原材料としての再利用)

    サーマルリサイクル
    (熱利用)

車載端末を使った「エコドライブ」を実践

物流における環境負荷は、使用する配送車両の数だけでなく、配送車両のコンディションや運行状況によっても左右されます。そこで、セブン‐イレブン・ジャパンは配送業務の委託先と協力し、「使用年数6年以内、走行距離50万km以内の車両を使用する」「事前予防整備点検を毎月実施する」という自主管理基準を作成。さらに、車両1台1台の安全運行と環境負荷削減のために、共同配送センターと店舗間で使用している全配送車両に車載端末を搭載。配送距離や最高速度、アイドリング時間、急発進や急加速・減速などの運転状況を数値化・グラフ化し、データに基づいた運行指導やエコドライブ講習会を実施しています。これらの結果、「安全運転=エコドライブ」という意識につながっています。

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保冷ボックスの使用によって燃費が向上

フローズンセンターではアイスクリームなど冷凍食品は「保冷ボックス」に入れて冷凍専用車両で店舗へ配送しています。これによって商品の品質を確実に保つ配送を実現しました。また、従来は納品時も冷機を止めないようにエンジンを止めずに配送していましたが、保冷ボックスを使用することで、納品時のエンジン停止が可能になり、排ガス削減にもつながっています。

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設備の使用電力量を制御する装置を導入

現在、物流センターでは、節電に向けて「デマンドコントローラー」の導入を促進しています。デマンドコントローラーとは、各設備の使用電力量を監視し、一定の範囲を超えないよう負荷設備に制御をかける装置のことで、センター内の無駄な電力を削減するのに役立っています。2022年2月末現在、164センター中、65センターで導入が完了しています。

自社以外でのCO₂排出量を把握(スコープ3の算出)

セブン‐イレブン・ジャパンは、セブン&アイHLDGS.の「地球温暖化防止基本方針」に則り、サプライチェーン全体におけるCO₂排出量を把握し、削減していくために「スコープ3」を算定しています。「スコープ3」とは、自社排出量以外の、原材料・商品の調達、配送、商品使用、廃棄過程から出る温室効果ガスの排出量のことを指します。

算定にあたっては、環境省の「サプライチェーン排出量算定支援」事業を活用し、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer2.1」に沿って算定しています。今後も、継続的に「スコープ3」の算定に取り組むとともに、その結果を踏まえ、自社以外を含めたサプライチェーン全体でのCO₂排出量の低減をめざしています。