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Vol.9知って欲しいアレルギーのこと

教育の機会としての食事

アレルギーについて知っておきたいことを、認定NPO法人アトピッ子地球の子ネットワーク 事務局長 専務理事 赤城 智美氏にお伺いしました。

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    認定NPO法人アトピッ子地球の子ネットワーク

    事務局長 専務理事

    赤城 智美

  • 認定NPO法人アトピッ子地球の子ネットワーク

    事務局長 専務理事

    赤城 智美

    1993年にアトピッ子地球の子ネットワークを設立。人と自然がよりよく共存することを願い、食物アレルギーの子もそうでない子も皆で楽しく過ごせる環境教育キャンプを120人規模で例年開催。1995年以来、大規模災害時に食物アレルギーの人への食料支援を行うほか、新型コロナ禍で経済困窮した人やひとり親家庭へのアレルギー用粉ミルク・アレルギー対応食品の無償提供も2年継続して行った。学校・自治体・食品企業などでの講演活動にも取り組んでいる。

宿泊行事

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  • 楽しみだけど困難なこと

    小さい時は、お泊り保育。大きくなると林間学校や修学旅行と、成長するにつれて自宅を離れ家族以外の人が作る食事を食べる機会が増えてきます。これは食物アレルギーがある人とその家族にとって、楽しみだけれど困難な出来事でもあります。例えば、施設の調理担当者が食物アレルギーについて理解を示しても、施設責任者の了解を得られないことがあります。

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  • 話し合いを積み重ねる

    家族はアレルゲンの種類、代わりに食べられるもの、アレルゲンを食べた時の症状など…説明し協力を依頼します。宿泊時の献立確認、料理ごとの代替相談も必要です。宿泊施設は、ひとたび「食物アレルギーの人に食事を提供する」と決めたら、調理環境を整え、厨房で働く人や配膳係など多くの人に、アレルゲン管理や危険回避について教育しなければなりません。

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  • たくさんの人に支えられて実現

    多くの人の協力によって食物アレルギーがある人が安心して修学旅行に参加できることはあります。しかしこれは、一握りの「うまくいった例」にすぎません。例えば、卵、乳成分、ピーナッツがアレルゲンの中学生は「危険なので自宅で調理した食事を冷凍して送って」と学校から指示され、2泊3日分の食事を宿に送りました。そんなアレルギーの人でも、おにぎり、みそ汁、手作り漬物なら安全に食べることができます。誰かの決意や努力によって、そんな素朴な食事が実現したら初めての旅をもっと楽しくできたのではないかと思うと少し残念な気もします。

    教育の機会均等が実現してほしい

    多くの場合は、学校や宿泊施設、旅行会社の担当者のうち誰かが、責任を取るようなことが起こったら困ると考えてストップをかけています。給食も修学旅行も全て「教育の機会」です。日本では一般的に教育の機会均等が実現していると考えられていますが、食物アレルギーの人にとっては、まだ道半ばのように感じてなりません。

おしえて!赤城さん

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  • Q 血液検査で食物アレルギーかどうかわかる?

    A 血液検査だけで、食物アレルギーを診断することはできません。IgE抗体検査などは「アレルギーが起こっている」全体像をとらえるようなもので、この検査だけで食物アレルギーを診断することはありません。加えて、どんなことが起こったかエピソードを聞き取ったり、薄めたアレルゲン溶液を皮膚に貼ったり、小さなひっかき傷を作ったりして確認する皮膚テスト。ごく微量の食品を医師の管理のもとで食べ、体の反応を調べる負荷試験なども行い診断されます。

  • 写真やイラストはイメージです。