トップ商品のご案内食の安全・安心への取り組み【専門家に聞く】食の安全と安心を科学する 「食中毒予防」の最後の砦は?

Vol.3【専門家に聞く】食の安全と安心を科学する

「食中毒予防」の最後の砦は?

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前回のコラムでは、コンビニは「安全第一」を基本としたリスク評価・リスク管理を徹底し、食中毒事故を回避しているとお話しました。それでも食中毒予防のためには、「最後の砦」である最終消費者が注意すべきポイントがあります。NPO法人 食の安全と安心を科学する会(SFSS)理事長の山崎 毅氏に解説いただきます。

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    NPO法人 食の安全と安心を科学する会(SFSS)

    理事長

    山崎 毅

  • NPO法人 食の安全と安心を科学する会(SFSS)

    理事長

    山崎 毅

    リスク学者/獣医学博士/東京大学農学部卒。

    専門分野:食のリスクコミュニケーション

    我々が本当に回避すべき食のリスクとは?気になる食の安全・安心の話題を科学的根拠とともに解説します。

Q1 食中毒はどこで起きていますか?

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  • 食中毒といえば、飲食店での食事が原因というイメージがありますが、家庭でも食中毒を引き起こすことがあります。家庭での発生は症状が軽かったり、寝冷えと勘違いしたり、食中毒とは気付かず重症化することも少なくありません。O157の潜伏期間は平均4~8日と長く、その間は無症状。直前の食事が原因とは限らないので要注意です。

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  • 過去10年間の食中毒件数推移を原因物質別にみてみましょう。ノロウイルスとカンピロバクター、それとアニサキスが非常に多いことがわかります。魚の寄生虫であるアニサキスは、過去「その他」として分類されていましたが、2013年から個別に集計されるようになり、その後年々増加し原因物質のトップとなっています。

Q2 家庭でできる対策は?

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  • やはり生肉と魚介類には要注意です。サバ・カツオ・マグロなどを生食するときはアニサキスの幼虫を目視で確認しましょう。生きたアニサキスを食べてしまうと激しい胃痛を起こす恐れがあります。アニサキスは、加熱調理や24時間冷凍処理すれば死滅させられますので「サバのみそ煮」なら安全ですね。

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  • 新鮮であっても生の鶏肉はカンピロバクター菌の汚染があるため、鶏肉は加熱調理が前提となっています。飲食店では鶏刺しや加熱不足による食中毒が多いのですが、家庭では鶏肉を調理した後のまな板やシンク、手指からお惣菜への交差汚染による食中毒が多発しています。手洗い・調理器具殺菌・清掃などを徹底しましょう。

まとめ食中毒予防の三原則を意識しましょう

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  • ①つけない!

    加熱が前提の生肉や魚介類には食中毒微生物が残っていることがあります。こまめな手洗い・エプロン着用・調理場の清掃殺菌も重要。

    ②増やさない!

    冷蔵・冷凍などの保存方法を守ること。ただし冷蔵庫を過信せず、調理済食品は消費期限を守って早めに食べましょう。

    ③やっつける!

    加熱調理すれば、ほとんどの菌やウイルスは死滅します。コンビニのお弁当・惣菜などを製造する工場でも、この三原則を安全対策の基本としています。

    • とくに夏場に多い「細菌性食中毒」の予防に関する三原則です。
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消費期限を過ぎても食べられる?

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  • 「消費期限」とは劣化の早い食品について、未開封かつ保存が指定通りの場合に限り、食べても「安全」という目安です。食品ロスはよくないので「消費期限」を過ぎた食品を食べたけど大丈夫だった、というのは運がよかっただけと思ってください。食中毒事故は家庭でも発生しており、これを防ぐ「最後の砦」は消費者自身です。

    「消費期限」を過ぎた食品は食べないようにしましょう。また「賞味期限」は、過ぎても直ちに食中毒の心配はないので廃棄は不要ですが、味が落ちるので早めに食べましょう。テイクアウトや自分で調理した食品も早めに食べること。食中毒細菌を増やさない保存方法(冷蔵・冷凍)も重要ですが「消費期限」は必ず守ってください。

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